究極、バーチャルアイドル
1997年11月25日初版発行『なりたい!ゲームクリエイター』(大栄出版)より


藤崎詩織が芸能界にデビューした。財津和夫ら一流ミュージシャンらが彼女のデビュー曲を手がけ、今後はコンサートも予定されている。総額2億円をかけて売り込みプロモーションが展開される予定だ。
さて、この“藤崎詩織”とは、100万本を超える大ヒットとなった恋愛シュミレーションゲーム『ときめきメモリアル』の主役の女の子の名前。しかし近い将来、彼女の名前は:ゲームの中に登場した架空の女の子ではなく安室奈美恵や華原朋美と同列の、ビッグアイドルとして認識される日がくるのかもしれないというわけだ。
バーチャアイドルといえばもうひとり、忘れてはならないのが伊達杏子。彼女の所属する事務所はあのホリプロだ。芸能界の一流プロダクションであるホリプロでは、モーションキャプチャーと呼ばれるシステムを使って、実際の人間の手足の動きや顔の表情、筋肉の微細な動きの全てをデータ化しCGで再現、究極のアイドル、“伊達杏子”を産みだしたのである。
アイドルは受け手にとってあくまでも偶像で虚像。絶対に触れることができない対象だとしたら、それが生身であろうが二次元の世界から絶対に出てこられないバーチャルな存在であろうが、どちらでも関係のないことのように思える。となれば、このバーチャアイドル戦争、完璧なるアイドルとして産みだされた伊達杏子に軍配があがりそうだが−−。しかし実際には、藤崎詩織の人気は高く、伊達杏子の人気は今ひとつだという。同じバーチャルでありながら、詩織と杏子の明暗をくっきりと分けたものの正体は何なのだろう。
ファンにとって、詩織の場合、“同じ時空で同じ時を過ごした瞬間”(ゲーム)があり、杏子にはなかった。ゲームユーザーの頭の中には、バーチャルと現実とが交差する真実の一瞬がある。その一瞬の中で藤崎詩織が笑っているのだ。



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